シュール(超現実)って何だろ。国立新美術館の「ダリ展」

「ダリ展」2016.9.14-12.12【国立新美術館】
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人から夢の話を聞かされると、その奇想天外な話に、時をもてあます思いがする。だが、自分が見た夢は、人には語らずとも、無意識に迫ることができる貴重な要素なので、ぜひ分析してみたい。自分でも気づいていなかった意識を理解し、心の本質にあるものを把握することできるもの、それが夢。

ダリの作品に触れ、「夢は、決して目には見えないけれど、現実ではないとは言い難い」という思いを強くした。人はそれぞれ、親や恋人から少なからぬ影響を受け、過去の体験や気持ちをかかえながら生きている。その思いは、いつも自分の中の大切な箱にしまわれており、外的行動の、そのすべてに影響を与えている。そのことを丁寧に教えてくれるのが、サルバドール・ダリ。不条理で奇抜で、難解なのに下世話で、現実離れした「夢」は、“シュール”そのもの。だが、そのシュールは誰の夢の中にもあり、人が共有できる意識であったのだ。

初期の作品に多く登場するのは、地中海に面したカダケスの風景。印象派を学び、キュビズムを学び、モダニズムを探究したサン・フェルナンド王立美術アカデミー時代。そして、シュルレアリスムへ。約250点の豊富な作品から、作風までも変化していく様子を感じることができる本展は、人間サルバドール・ダリにも迫ることができる展覧会。

絵画にとどまらず、彫像、版画、写真、映画、舞台や、宝飾品まで。挑戦に対して貪欲であり続けたダリ。様々なツールを用いて、人の内面から真実に迫ってきた彼が、第7章「原子力時代の芸術」では、そのテーマを大きく変化させていることが興味深い。アメリカに亡命していたダリが、原子力爆弾の投下に影響を受けて制作した「ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌」。その後、「ポルト・リガトの聖母」「ラファエロの聖母の最高速度」など、量子力学で大きく変わった20世紀を感じる作品が続く。

この時変わったのは、ダリではなかった。世界のほうだったのだ。

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国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
《ダリ展公式サイト》
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