【見逃しシネマ】6月開幕の展覧会とあわせて観たい「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」

映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』(2014年 アメリカ・フランス)


全61作品が日本初公開。開幕が見送られていた「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(東京・国立西洋美術館、大阪・国立国際美術館)の新しい会期が発表され、国立西洋美術館では日時指定制が導入されることがわかった。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーが世界のどの場所でも開催したことのない大規模な所蔵作品展であり、ゴッホ《ひまわり》、フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》、レンブラント《34歳の自画像》をはじめ、世界の傑作が初来日することでも注目の展覧会。

見どころだらけの展覧会に行く前に、ぜひ観ておきたい映画が「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」。
ここには画家の人生ドラマも、ドラマティックなストーリーもない。現実の難しさに直面しながらも、人々が仕事と向き合うドキュメンタリーだ。

ロンドンのトラファルガー広場にある英国の国立美術館「ナショナル・ギャラリー」は、“名作の宝庫”とも呼ばれ、年間500万人以上が来館する。ここでは、常設展の入場料はもちろん、多彩なワークショップや館内ガイドツアーまでが、なんと無料。運営には館内に置かれた募金箱によって集められた寄付が充てられ、アートは貧富や階層の差なく楽しめるものというスピリットが息づいている。

そんな美術館の日常に迫るドキュメンタリー映画に登場するのは、ロンドン・ナショナル・ギャラリーで活躍するスタッフたち。「修復師」「科学者」「額縁制作スタッフ」「展覧会の仕掛け人」「ワークショップ指導員」など、そこで働くすべての人の専門性の高さと、情熱を感じることができる。

美術館内では、過ごす人々の様子もさまざまだ。模写をする人、頬を寄せる恋人たち、ベンチで眠る人。子供たちは名画の前の床に座ってその空間を楽しみ、大人たちは作品の場面に入り込むような臨場感溢れる解説に聴き入る。

美術館という場所は、ただ芸術作品を鑑賞するためにあるのではない。人はここでどのように作品と向き合い、自らとの関係性を見つけ出すことができるのか――。その可能性を現実に変えるために、白熱した議論が展開される日々。

ヴェネチア国際映画祭栄誉金獅子賞を受賞し“現存するもっとも偉大なドキュメンタリー作家”といわれるフレデリック・ワイズマン監督が、いつか撮影したいと思っていた場所、ナショナル・ギャラリー。

いくつもの場面が重なって作られる映像と美術館像。こんな美術館に行ってみたいと感じるとともに、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの誇りと心意気を感じることができる。

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映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』
監督:フレデリック・ワイズマン
配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/treasure
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☆「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の内容を紹介する動画
https://www.youtube.com/watch?v=MRcAPQSejOE

☆国立西洋美術館の動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8



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ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 公式サイト
https://artexhibition.jp/london2020/
〇国立西洋美術館【東京・上野公園】
2020.6.18~10.18
https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
〇国立国際美術館【大阪・中之島】
2020.11.3~2021.1.31
http://www.nmao.go.jp/index.html