「朝顔図屏風」がニューヨークから里帰り。江戸っ子絵師の挑戦に出会う、サントリー美術館の「鈴木其一展」

「鈴木其一 江戸琳派の旗手」2016.9.10-10.30【サントリー美術館】

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ニューヨークのメトロポリタン美術館から里帰りしている「朝顔図屏風」。その前に立つと、間違いなく尾形光琳の「燕子花図屏風」を思い起こすだろう。この六曲一双の屏風は、鈴木其一が “琳派”の継承者であることを強く意識していたことを伝えてくれる。

「金」地に、「紺」の花と「青みがかった緑」の葉。「燕子花図屏風」とほぼ同じ色彩を用いた屏風であるが、実際に「朝顔図屏風」を間近で観ると、デフォルメされているにもかかわらず、朝顔の花のその瑞々しい質感だけがリアルで驚く。花は、あっちを向いたりこっちを向いたり。つぼみや裏側から見た花冠の可憐なフォルムに感じられるのは、朝顔への愛おしさ。細部まで端正な様は、江戸琳派らしい詩情豊かな表現だ。

一方、少し離れてその大画面を観ると、朝顔のつるは巧みに動き、浮遊しているように感じられる。また、左上と右下からお互いに靡いているように見える構図は、琳派の私淑を代表する「風神雷神図屏風」を彷彿させるのだ。

琳派という体系を確立した「江戸琳派の祖」とも言われる酒井抱一に師事した、日本橋生まれの鈴木其一。抱一亡き後、尾形光琳と俵屋宗達の代表作に挑戦することで、琳派として私淑しつつ、新しい感覚を貪欲に表現していった其一。「朝顔図屏風」に描かれているのは、身分を問わず江戸庶民にも愛された朝顔だ。神でも古典文学でもない、この題材にも、伝統と革新を両方表現した其一の挑戦が見える。

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サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4
東京ミッドタウン ガレリア3階
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