【見逃しシネマ】アート市場のリアル。作品の本当の価値に迫る「アートのお値段」

映画「アートのお値段」(2018年 アメリカ)

日本では2019年に全国で劇場公開された映画「アートのお値段(原題:THE PRICE OF EVERYTHING)」は、2020年5月末にDVDが発売となり、オンラインでも鑑賞できるようになった。

世界各地に出没するバンクシー。彼のストリートアートが人々を熱狂させる理由は、おそらく2つ。作品に込められた社会風刺の意味を知りたいという欲求と、高額取引が期待されること。

2019年ニューヨークのオークションでは、ジェフ・クーンズの作品「ラビット」が、約100億円で落札された。史上最高額の高値が付いたその作品は、ステンレスでできた風船うさぎの彫刻だ。ステンレスには鑑賞する際にその人の姿が映る――。

バブルと言われて久しい世界のアート市場だが、そこには、現代美術には存命の作家ならいくらでも作品を供給できるというメリットがあるという。作家にとってのアート、投資としてのアート。個人のコレクションとなるか、美術館の倉庫に保管されるか。アート作品の運命は、意外と過酷だ。

「芸術的作品が残る唯一の道が、商業的価値を持つことだ」
「アートと金に、本質的なつながりは何もない」

本編には、登場人物のさまざまな言葉が登場する。

“値段は、価値の基準なのか”
そんな疑問を持たせ、疑問そのものを超越してくドキュメンタリーの構成を楽しみたい。

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映画「アートのお値段」
監督:ナサニエル・カーン
http://artonedan.com
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