「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」2016.4.27-8.22【国立新美術館】
明るい光に包まれた人々はダンスをしたり、語らったり。初来日の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》の前に立つと、その空間に誘われるよう。
《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》の展示空間の向かいには、ダンス三部作から《田舎のダンス》と《都会のダンス》が見える。展示室を結ぶ空間は広く、まるで公園のようにベンチが置かれている。木漏れ日の中、公園で休日を過ごすように楽しめる素敵な展覧会だ。ここにあるのは、ルノワールからのギフトのような幸福感。
悲しい絵を1枚も描かなかったという、ピエール=オーギュスト・ルノワール。だが、彼の人生に悲しい出来事がなかった訳ではない。息子たちは戦争で負傷、年下の妻に先立たれ、リウマチの痛みに苦しみながらも絵筆をとった。
映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」を観ていたからだろうか。人生最後の数か月に描かれた最後の傑作といわれる《浴女たち》を目にしたときには、画家人生をかけた、生命の美しさの賛美のように感じられた。好んで描いたという薔薇は、帽子の飾りとして女性の横に置かれている。その薔薇の明るさ赤さが、命の輝きのように見えてくるのだ。
本展には、まばゆいばかりの自然の光を感じる《ぶらんこ》や《読書する少女》をはじめ、散歩したくなる場面を描いた風景画や、自らを「人物画家」を自負していたルノワールが手掛けた肖像画も多数。ルノワールの人生に触れることができる。
最後まで画家として生きた、ルノワール。「絵は見るものじゃない。一緒に生きるものさ」―という言葉が、胸に響く。

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国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
《ルノワール展公式サイト》
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