2つのアフガニスタン展が同時開催。世界10か国を巡回してきたシルクロードの秘宝

「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘法~」2016.4.12-6.19【東京国立博物館 表慶館】
「素心 バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」2016.4.12-6.19【東京藝術大学大学美術館 陳列館】

 

黄金のアフガニスタン1468

 

「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる“A nation stays alive when its culture stays alive.”」

世界10か国を巡回し、最後に日本にやってきた「黄金のアフガニスタン~守りぬかれたシルクロードの秘法~」展。入口には、こんな言葉が掲げられている。

1979年のソ連の軍事介入以来、戦火が絶えることのなかったアフガニスタン。アフガニスタン国立博物館の館員たちは1989年、ついに収蔵品をある場所へと運び出した。その後、砲撃に国立博物館は遭い壊滅。略奪が相次ぎ、奪われた収蔵品は海外に流れ、その一部は日本にも。

情勢が安定してきた2004年、大統領府内の中央銀行の地下金庫の扉が開かれ、アフガニスタン国立博物館の館員が避難させた収蔵品がよみがえった。現在、アフガニスタン国立博物館は再建され、玄関には冒頭の言葉が刻まれた石碑が建てられている。

家族にも収蔵品の保管場所を語らず、尋問を受け、命の危険にさらされても決して口外することのなかった彼らの、尊敬すべき強い使命感がもたらした、奇跡のような現実。「我々の仕事は、文化財を守り、民族の文化を次代に残すこと―」との言葉に胸を打たれる。

 

文明の十字路ともいわれた古代のアフガニスタンの秘宝には、エジプトの神やギリシア神話のみならず仏教までも登場。ユーラシア大陸の東西を結ぶ交易がもたらす、独特の世界を映し出している。さらに驚かされるのは、その文明度の高さ。2000年前のガラスのグラスは、つい数年前まで使っていたかのような色彩と現実感でそこにあり、遊牧民の王族たちの墓から発掘された襟飾りやペンダントの黄金やトルコ石は、変わらぬ輝きを今も放っている。

“文化財難民”として平山郁夫氏が提唱した「アフガニスタン流出文化財」の保護・保管」活動。本展の後、日本で保護されていたアフガニスタン流出文化財102点は、アフガニスタンに返還される。東京国立博物館で展示されている15点以外の文化財は、同じ上野公園内にある東京藝術大学大学美術館 陳列館で見ることができる。

黄金のアフガニスタン1467
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東京国立博物館
東京都台東区上野公園13-9
http://www.tnm.jp
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芸大アフガン1483

もし、東博の「黄金のアフガニスタン」展を観たなら、少しだけ歩いて、緑深い東京藝術大学の構内にある陳列館にぜひ立ち寄ってほしい。アフガニスタンの実際の映像によって、よりリアルな事実に触れることができ、文化財を保存・修復し返還の時を待っていた東京藝術大学の活動をも知ることができるはずだ。

陳列館の2階には、そのスペースの大部分を使って、タリバンによって破壊されたバーミヤン東大仏の天井に描かれていた壁画を復元。大仏の頂上から見た景色を映像で表現した空間を体感させてくれる。実際には破壊されてしまった天井画。でも、ここには天井画があり、バーミヤンにいるかのような気持にさせてくれる、体験型の新しい試みに触れる貴重な展覧会となっている。

 

芸大アフガン1480

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東京藝術大学大学美術館 陳列館
東京都台東区上野公園12-8
http://www.bamiyan-hekiga.com
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