「生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠」2016.3.23-5.15【東京国立博物館】
「絵筆で明治を開いた男、黒田清輝の実像に迫る」パンフレットには、こんな言葉があった。島津藩士黒田清兼の子として生まれ、のちに伯父の子爵黒田清綱の養子となった黒田清輝。法律を学ぶために渡仏していた清輝は、パリで画家になることを決意し、養父宛に長い手紙を送った―。
現在、東京国立博物館平成館で開催されているのは、黒田清輝という人物の人生を見るかのような展覧会。代表作《読書》《舞妓》《湖畔》《智・感・情》などの現存する膨大な作品加え、戦火で焼失してしまったが彼を語る上で欠かせない《朝妝》《昔語り》、東京駅壁画をパネルで再現。パリからの書簡から、絶筆となった作品までが並び、黒田清輝の生涯を知るとともに、明治日本の近代化を見る。
彼がパリで師事したのは、ラファエル・コランだった。外光派と呼ばれ、戸外で描くことで自然の明るい光や空気感を表現する画風だが、当時急進的であった印象派とは一線を画す画風で知られる。フランス画壇に衝撃を受け、留学したばかりの頃は、すべて学んでやろうとするかのように数々の模写を重ねた黒田の姿があった。その後の作品からは、バルビゾン派のジャン=フランソワ・ミレーや、印象派からの影響も見ることができる。
本展では、オルセー美術館からラファエル・コラン《フロレアル(花月)》、ジャン=フランソワ・ミレー《羊飼いの少女》が特別出品されている。コラン作品は、ほかにも《思春期》(ランス美術館)、《庭の隅》(前田育徳会)、《若い娘の肖像》(オルセー美術館)など、圧巻の展示。黒田清輝の衝撃を目の当たりにするかのようだ。
江戸の独特の文化を踏まえ、貪欲に西洋文化を学んだ明治という時代。日本ならではの近代絵画を生み出すことに力を注いだ近代絵画の巨匠・黒田清輝の“実像”。慶応2年から大正13年までの生涯、それはまさに日本の近代化であった。
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東京国立博物館
東京都台東区上野公園13-9
http://www.tnm.jp
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