彫刻家の生きた新宿。中村屋サロン美術館「荻原守衛展」

「生誕140年・開館5周年 荻原守衛展 彫刻家への道」2019.9.14〜12.8【中村屋サロン美術館】

新宿で長く愛される、パンとカリーで有名な中村屋。
中村屋の創業者である相馬愛蔵は信州安曇野出身であり、その妻良(黒光)が嫁入りの際に持ってきた長尾杢太郎の絵画《亀戸風景》を目にしたことをきっかけに、信州で暮らしていた荻原守衛は画家を志すことになったのだという。

のちに、ニューヨークへ渡り、パリでオーギュスト・ロダンの《考える人》を観たことにより彫刻家へと転じ、実際にロダンに師事した荻原守衛。
日本に戻ってからは、中村屋のそばにアトリエを構え、相馬家との親交も深かったそうだ。

本展には、長尾杢太郎の《亀戸風景》や、相馬家と荻原との親交が感じられる絵画をはじめ、相馬黒光への想いから生まれたという《文覚》や遺作であり代表作でもある《女》などの彫刻作品がずらり。
決して大きくはない美術館であるにもかかわらず、わずか30歳で亡くなった彫刻家・荻原守衛の歩みを豊富な作品によって実感できる内容になっている。

新宿の“中村屋サロン”でしかできない展示。
街の風景は変わっても、この地だからこそ感じられる芸術家の息づかいがありそうだ。

******************
中村屋サロン美術館
東京都新宿区新宿三丁目26番13号
https://www.nakamuraya.co.jp/museum/
******************