「日伊国交樹立150周年記念 特別展 レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の挑戦」2016.1.16-4.10【江戸東京博物館】
“万能の天才”と称されるレオナルドは左利きだった。膨大な手稿は鏡文字で書かれており、人間が飛ぶために鳥が飛ぶ構造を研究した図入りの直筆ノートには、鳥の飛翔のみならず、解剖学や建築、水力学の内容までが収められている。その非凡さに、レオナルドの絵画を観る機会を得たならば、何らかの意味を見つけなければならないと世界中の人々が思うのかもしれない。
直筆ノート『鳥の飛翔に関する手稿』と、《糸巻きの聖母》を中心に、レオナルド・ダ・ヴィンチの挑戦に迫る本展は、レオナルドの手稿に残された彼の言葉に導かれるように展開していく。
「優れた画家は2つのものを描く。人と人の心の動きである」
「その手に魂が込められなければ、芸術は生まれない」
その形状まで細かく描いた《花の研究》に、自然をとことん観察してデッサンを積み重ねる研鑚を、人体のねじれ方や動きなどを捉えた《子どもの研究》《手の研究》には、解剖してまでも人の構造を確かめたレオナルドの探求心を見る。この地道な努力に触れ、レオナルドは天才ではなく桁外れの努力家だということを知る。そして、《ユダの手の研究》に、手だけでその人の心情を伝えることに挑んだ画家のゆるぎないスピリットに触れるのだ。
イギリスのバクルー公爵家所蔵の《糸巻きの聖母》は、2009年からスコットランド・ナショナル・ギャラリーで一般公開されているが、これまでレオナルドの故郷イタリアとイギリス以外の場所に出品されたことがなく、本展で初めてヨーロッパを離れ、東京にやってきた。
《糸巻きの聖母》には、その直後に描かれた《ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)》で完成されたという「スフマート(ぼかし)」技法も見ることができる。肉体のふくらみまでも豊かに描く、人が生きていることを感じさせる絵だ。
自然にないものは描かないという理由で、輪郭を描かなくなったレオナルド。教会の決まった構図のオーダーに応えなかったために受け取りを拒否された作品もあるというエピソードも持つ。
自然にないものは描かない。そう。彼の描いたものは、自然の中にある。
******************
江戸東京博物館
東京都墨田区横網1-4-1
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
******************

