その平面性と装飾性が愛おしい。三菱一号館美術館の「オルセーのナビ派展」

「オルセーのナビ派展 美の預言者たち―ささやきとざわめき」2017.2.4-5.21【三菱一号館美術館】

「ナビ」とは、ヘブライ語の“預言者”から生まれた言葉。ゴーガン(ゴーギャン)に影響を受けた19世紀の若き芸術家グループが「ナビ派」であり、“平面性”と“装飾性”にその特徴がある。彼らの作品には、それまでの印象派にはなかった輪郭線や、目を喜ばす原色や装飾が登場する。自然の模倣から切り離されたその芸術は、平面な絵画空間にしかできないことを求めている。

日本で初めてナビ派を本格的に紹介する展覧会。三菱一号館美術の「オルセーのナビ派展」では、ゴーガンの助言によって作品が生まれ、それがナビ派結成のきっかけともなったセリュジェの《タリスマン(護符)》も展示されている。このオルセー美術館所蔵の豊富な作品群から見えてくるのは、人間の内面の本質を捉えようする彼らの活動だ。

そして、私たちが展示室の作品に出会ってまず気づくのは、“日本的な何か”かもしれない。浮世絵を想起させる、ベタ塗りの色や意匠。陰影のない画面や、作品の中に描かれた扇。屏風に仕立てられた画面など、ナビ派の作品には日本らしさが感じられるのだ。

ナビ派の画家のなかでも、ボナールは、掛け軸のような縦長の画面を使って《格子柄のブラウス》を描いたり、季節の4枚の連作《庭の女性たち》を屏風にしようと計画するなど、日本美術に影響を受けており“日本かぶれのナビ”とあだ名がつけられたほど。

遠く離れたパリからやってきた作品に“日本的なもの”を見たり、その特徴にあたらめて気づき感覚的な親しみや懐かしさを覚えることができるのは、なんだかうれしい経験でもある。

また、独特のやわらかな色彩と平面性に特徴があるドニの作品からは、ナビ派が好んだ庭と女性や子供のモチーフから宗教性のある“イコン”へと、テーマが変化していく様子も伺うことができる。

「ナビ派」とはいったい何だったのか。20世紀の予兆であるかのように、新しい芸術を創造しようとした彼らの、その深層に辿り着きたいという気持ちさせる展覧会だ。

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三菱一号館美術館
東京都千代田区丸の内2-6-2
http://mimt.jp
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