国立新美術館の「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」

「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」2016.1.20-4.4【国立新美術館】

国立新美術館小1161

人に感動を与え、名作と呼ばれるものがあるならば、それは作者の思い入れの深いものであるに違いない。家族を描いたものであったり、自身の部屋に飾り生涯手元に置いていたものなど、心から大切にしてきた作品だ。

倉敷にある大原美術館は、昭和5年、日本初の西洋美術の私立美術館として開館した。事業家・大原孫三郎が設立した日本のルーブルとも称される美術館。「日本の美術館のために」と集められたそのコレクションには、友人でもあった画家・児島虎次郎が大きくかかわっている。虎次郎が再三にわたって渡欧し直接画家と交渉してまで日本にもたらした作品は、彼に審美眼にかなったものばかり。まさに珠玉の名作ぞろいだ。

本展では、エル・グレコ「受胎告知」、エドモン=フランソワ・アマン=ジャン「髪」、クロード・モネ「睡蓮」、ポール・ゴージャン「かぐわしき大地」、藤田嗣治「舞踏会の前」、パブロ・ピカソ「頭骸骨のある静物」ほかを展示。画家の名前が有名であるだけでなく、その作品にも圧倒される。また、日本美術からは、棟方志功、芹沢銈介、安井曾太郎、そして、エジプト・オリエント・古代東洋の美術品なども並ぶ、見ごたえのある展覧会となっている。

筆者が本展を訪れた理由に、熊谷守一の「陽の死んだ日」が来るのでは、という期待があった。熊谷守一美術館の30周年記念展で観ることのできなかった本作。この絵に出会い、「こんなにも悲しいという激情が迫る作品があっただろうか」そんな想いに胸を突かれ、何度もこの絵の前に立ち戻っては、展示室を後にした。

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国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
http://hajimari2016.jp/
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