じわじわと伝わる街への想い「新宿風景画展」中村屋サロン美術館

「浮世絵・水彩画に見る 新宿風景画展 江戸から昭和まで」2016.1.16-3.13【中村屋サロン美術館】

中村屋サロン小1173

2014年にオープンした中村屋サロン美術館では、現在、「浮世絵・水彩画に見る 新宿風景展 江戸から昭和まで」を開催している。

江戸時代の内藤新宿の趣を伝えるのは、歌川広重をはじめとする浮世絵。甲州街道の宿場町として荷車が往来する物流の拠点であったものの、当時はまだ「四谷新宿馬の糞」と言われていたという。

だが、関東大震災後、比較的被害の少なかった新宿に人々が集まってくるようになり、繁華街へと変貌を遂げてきたのだそう。

本展で数多く展示されており、大正時代から昭和45年までの新宿を見せてくれるのは、堀潔のペン画だ。現在のその場所の写真と並べて展示されていることで、今と当時を比較しながら観ることができるとともに、その1点1点に残る人々の目線と風情までも楽しむことができる。

また、1点ではあるが、佐伯祐三作品も展示されており、大正時代の下落合の風景に心打たれる。

高層ビル化が進み、現在では想像できなくなっていたが以前の新宿の街。新宿中村屋もビルの建て替えが行われ、この美術館を開館した。どこか懐かしい新宿の街は、人々の心の中と、この場所に確かにあったのだということ。ここで開催されているからこそ、親しみをより深く感じることができる、愛すべき展覧会だ。

中村屋カレー小1176

******************
中村屋サロン美術館
東京都新宿区新宿三丁目26番13号
https://www.nakamuraya.co.jp/museum/
******************