琳派と秋の彩り〜山種美術館で、日本の風情と美意識のDNAに心奪われる〜

「琳派400年記念 琳派と秋の彩り」2015.9.1-10.25【山種美術館】
 山種ポスター0698

 

本阿弥光悦が、徳川家康から京都・鷹峰の土地を拝領し、〝芸術村〟をひらいた元和元(1615)年から、ちょうど400年。今年の秋は、「琳派400年」を記念した展覧会やイベントが目白押しだ。

山種美術館では「琳派400年記念 琳派と秋の彩り展」がはじまった。

「琳派とは、どんなものなのだろう」「日本独特の美しさを脈々と伝えているのはなぜだろう」まずは、そんな疑問を解決したい

「私淑」とは、直接教えを受けたわけではないが、その人を尊敬し師として学ぶこと。画家であれば、その人の作品を模写することで学びとることがある。

たとえば、酒井抱一が生まれた頃、尾形光琳は亡くなってすでに45年が経っていたはずだ。だが、抱一は、他の流派の技法を学び、浮世絵なども手がけたのちに、尾形光琳に〝私淑〟した。さらに、本阿弥光悦・俵屋宗達からはじまる流れを 「尾形流」と系統づけるなど、琳派独特の美の系譜を見出し、世に知らしめる功績を残している。

 

その酒井抱一の作品の前で、思わず立ち止まった。「秋草鶉図」屏風の、月と美しい秋草、そして鶉(うずら)の絶妙なバランス。近づいて見ても細かな筆使いまでが美しい。そんな抱一らしさに心奪われたのだ。

日本画専門美術館が開催する本展では、時代を超えたその豊富な作品群から、来場者1人1人がそれぞれに秋の風情を楽しみつつ、時を超えて受け継がれる琳派DNAをしっかりと感じ取ることができる

館内のCafe椿では、この絵をはじめ作品を題材にした青山の老舗菓匠「青山」のオリジナル和菓子をいただいた。感動した作品をやわらかな味わいの和菓子でも楽しむ。そんな風情の余韻が素敵だった。

山種入口0702

******************
山種美術館
東京都渋谷区広尾3-12-36
******************