ピカソ展〜難解?山梨県立美術館で、Picassoが見えてくる〜

「ルートヴィヒ・コレクション ピカソ展 冒険こそが、私の存在理由だ。」2015.9.1−10.25【山梨県立美術館】

ピカソポスター0694

ピカソ(=パブロ・ピカソ)といえば、あの顔の右左が同時に描かれた絵がまず思い浮かぶ。そして、美しいとか、感動するとか…そういうわかりやすい感覚を超越した何かが、そこにあるのだということを知る。

ピカソ内観0685

「20世紀」を代表する芸術家、ピカソ(1881−1973)。本展は、ピカソの作品とピカソを被写体にした作品のみで構成されている。たとえば1枚の絵を観ただけではわからなかったもの、それが、時を追いながら展示される作品群によって、その姿がぼんやりと形作られてくるのがわかる。それは、それぞれの来館者の中の〝ピカソ像〟。

青の時代。バラ色の時代。絵画の流れを根底から覆すキュビズムの展開。アトリエにおける〝画家とモデル〟という永遠のテーマ。新古典主義。シュルレアリスム美学への接近。そして、故郷スペインに帰ることなく、自発的亡命者として生涯を終える理由ともなった《ゲルニカ》の時代へ。

ピカソを物語るこれらのキーワードを結ぶのは、油彩や素描だけでなく、大胆な質感までも感じる版画や、立体だからこそのブロンズ、闘牛場への愛が感じられる美しい陶器。

時代とともに生き、可能性の限りを尽くし、人の悲しみに寄り添い、女性を愛し、最晩年まで精力的に作品に取り組んだ、92年の人生。そんなピカソの魅力を最後に語るのは、時代を代表する写真家達が残したポートレイト。そこでピカソは、80代にして闘牛を楽しみ、90歳にして若々しい立ち姿を披露する。被写体・ピカソのポテンシャルの高さにも驚く、まさに「ピカソ展」。

パリやバルセロナのピカソ美術館に次いで、世界最大級の規模のピカソコレクションを有するという、ドイツのルートヴィヒ美術館。観終わったあとに、少し天才・ピカソが身近に感じられるようになる。そんな展覧会だ。

ピカソポワレ0688
ピカソ展の特別メニューもランチで

ピカソテラス0684

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山梨県立美術館
山梨県甲府市貢川1-4-27
http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/
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