もうすぐ銀杏の季節がやってくる。明治神宮外苑で見たいアート

2017年は、大政奉還から150年となる年。将軍徳川慶喜が二条城に重要な幕臣たちを参集させて、大政奉還の方針を告げたのは、1867(慶応3)年10月12日のことだ。歴史の舞台となった京都の元離宮二条城では、大政奉還150周年を記念した展示が行われるなど、各地で関連イベントが開催されているが、東京でもその雰囲気を味わうことができる場所がある。

1926(大正15)年に竣功した聖徳記念絵画館は、わが国初期の美術館建築であり、ここでは幕末から明治にかけての歴史を辿るかのように、当時の一流画家が手掛けた日本画と洋画の壁画80点を見ることができる。明治天皇の事績を映し出す壁画だが、史実に基づき精緻に描き出された光景は、幕末から明治にかけての激動の日本を知る貴重な資料でもあるだろう。現在も残る建物が画面に登場するなど、画家たちが何度もその場に足を運び、リアルに表現した絵画群。このなかに、二条城二の丸御殿大広間に展示されている裃姿の大名が居並ぶ様子を表現した人形の参考ともなった、頓田丹陵の壁画「大政奉還」もある。二条城で現在展示されている人形は、大政奉還150周年に合わせて修復・新調する際に、この壁画のイメージを参考に烏帽子姿から裃姿に変更したのだという。

聖徳記念絵画館は、銀杏並木が黄金に色づく季節になると、その奥に見える姿がひときわ美しいことでも有名な場所だ。絵画館の隣には、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、新国立競技場の建築が進んでいる。たった100年で大きく変わった時代の象徴が並んで建つ不思議。

2018年は、明治維新から150年。幕末から明治へ。のんびり散歩やランチをしつつ、明治神宮外苑を歩きながら、時空を超える気分も味わいたい。

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聖徳記念絵画館
東京都新宿区霞ヶ丘町1番1号
http://www.meijijingugaien.jp/art-culture/seitoku-gallery/
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帰り道、同じ青山通り沿いのスパイラルガーデンで開催されている「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」展に立ち寄った。1Fのカフェの向こうに広がるのは、螺旋状のスロープに導かれる開放的な空間。ここに展示されているのは、日本各地やロンドンで暮らす22の作家たちによる、身体の中から生み出される表現だ。“アウトサイダー”や“アールブリュット”という言葉に縛られずに、作品と対話するように自由に楽しめる空間となっている。

椅子に座って外を眺めることができるスペースがあったり、気分が悪くなった時に休むことができる部屋も用意されているなど、誰でも楽しく心地よく過ごすことができる。

クヌギの葉を使った「折り葉の動物たち」は、これは犬かな、こちらはヘビかなと眺め、枯れてしまった葉がいきいきと歩く動物に変身しているのもなんだか楽しい。

ほどんどの作品の撮影がOKで、香取慎吾さんの「イソゲマダマニアウ」と「火のトリ」の作品も皆が楽しそうに撮影していた。

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日本財団DIVERSITY  IN  THE  ARTS企画展
「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」2017.10.13~10.31
https://www.diversity-in-the-arts.jp/moto
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