美しい夜の東京国立博物館で、香りや映像で体感する“屏風”

親と子のギャラリー「びょうぶとあそぶ さぁ、絵の中へ」2017.7.4~9.3【東京国立博物館】

まるでアトラクションのような体験。“親と子のギャラリー”とされているが、大人にとっては週末の仕事帰りに立ち寄っても楽しめそうな、感覚的な展示となっているのが「びょうぶとあそぶ」。題材とされている屏風は、長谷川等伯「松林図屏風」(国宝 東京国立博物館所蔵)と、尾形光琳「群鶴図屏風」(アメリカ・フリーア美術館所蔵)。本館の特別5室、特別4室に出現した体感空間に足を踏み入れると、そこは屏風の世界だ。

香りに癒され、そよぐ風に驚きながら進むと、広い畳の上に高精細複製された「松林図屏風」が立てられている。靴を脱いで畳に上がり、屏風の前に座ると、ダイナミックな映像に包み込まれるような体験型の展示に、風景の中に入り込んだような気持ちになる。ふと風に木が揺れる音がして、霧に包まれたかと思うと、鳥が遠くから舞い飛んで来る。ここは松林の中だ。心地いい映像体験では、時には雪がしんしんと積もり、草花が季節の変化を告げる。そうだ、その場所に様々な空間を創り出すことができるのが「屏風」なのだ。

一方、「群鶴図屏風」の映像の前に立つと、人の数と連動して鶴が舞い降りてくる仕掛けが楽しい。原本はアメリカ・フーリア美術館所蔵だそうなので、高精度の複製によって日本にない光琳作品に触れることができるのも嬉しい体験となっている。

 

8月下旬、この日は日タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」に合わせた“トーハクBEER NIGHT!”も開催中。大人たちが、シンハービールと夕涼み気分を楽しんでいた。

 

緑青色のドーム屋根の表慶館はどこか異国情緒を感じさせてくれ、洋式建築に和風屋根の帝冠様式の本館の姿も美しい。金曜・土曜の夜は、いつもとは違った顔を見せる東博の幻想的な風景を楽しめるのもいい。

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東京都台東区上野公園13-9
東京国立博物館
http://www.tnm.jp/
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